タンパク質・化学物質相互作用マルチスケールシミュレーション・システム

医薬品等の効率的な分子設計を可能にする量子論に基づいたタンパク質と化学物質の相互作用解析システム

サブテーマリーダー:中野 達也
国立医薬品食品衛生研究所 主任研究官

サブテーマリーダ: 中野 達也

ポストゲノムが現実となった現在、ゲノム情報を有効に活用し、医薬品の開発等に結びつけることは極めて重要な課題である。これまでタンパク質やDNAといった生体高分子の機能を分子シミュレーションで解析するには、分子を構成する原子の間に働く力を古典的なポテンシャル関数(力場)で近似した、分子力場法や分子動力学法が用いられてきた。しかしながら分子間の相互作用は古典的力場関数では精度よく記述できない場合が多く、第一原理(量子力学)に基づいた巨大分子計算手法の実現が待たれていた。

タンパク質-化学物質相互作用マルチスケールシミュレーション・システム(BioStation)は、タンパク質(受容体タンパク質等)と化学物質(リガンド分子)の分子間相互作用を量子論に基づいて解析するシステムを提供し、タンパク質-化学物質間の相互作用エネルギーを高精度で予測することにより、医薬品等の効率的な分子設計を可能にすることを目的としている。BioStationはシステム構成図に示したように、4つのサブシステムから構成される。

(1) 非経験的フラグメント分子軌道法による相互作用解析 (ABINIT-MP)

量子論に基づいた受容体-リガンド分子の結合エネルギーの予測および相互作用解析

(2) 相互作用解析の可視化 (BioStation Viewer)

JavaおよびJava3Dを用いた、入力データの作成、計算結果の可視化及び解析ツール

(3) 統合実行環境(BioStation Launcher)

Javaを用いた統合実行環境

(4) 標的データベース (KiBank)

医薬品を中心としたリガンド分子、及びリガンド分子の標的となる生体分子(受容体タンパク質等)の情報に関する統合データベース

構成図

タンパク質-化学物質相互作用マルチスケールシミュレーション・システムBioStationシステム構成図

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