革新的汎用連成シミュレーション・システム

革新的汎用連成解析

サブテーマリーダー:吉村 忍
東京大学大学院工学系研究科 教授

サブテーマリーダ: 吉村 忍

本サブテーマにおける「連成解析」とは、2種類以上の異なる力学・電磁気学的現象などが相互関連する複合現象を対象とする、いわゆるマルチフィジックス解析である。
本サブテーマにおいては、流体、構造、熱、電磁場などの単一力学現象ソフトウェアを効率的に統合して活用した革新的汎用連成解析システムを開発することを目的とする。日本の産業界を代表する重工・電機・鉄鋼メーカー等の協力も得て実用的連成問題を複数個ターゲットとして選択し、プロジェクト遂行期間内に革新的汎用連成解析システムを用いて実際に解くことを目標とする。
このシステムの主な研究開発項目を以下に示す。

(1) 連成解析カップラーを含む連成解析エンジン

本サブテーマで開発目的としている革新的汎用連成解析システムでは、汎用性を重視して弱連成解析を採用する。連成解析においては構造、流体、電磁場、熱の各単一現象解析ソフトウェアの連成する物理量を相互に接続する仕組みが鍵を握る。本研究開発では、その仕組みを連成解析カップラーと呼ぶ。
各現象間の物理量の交換に関しては、各現象で異なるメッシュのトポロジー(位相)に対応するとともに、各現象の時定数の違いに応じて異なる時間ステップ幅にも対応できるようにする。また、この連成解析エンジン自体も並列環境で稼動するものとする。

(2) 適応メッシュ生成コンポーネントと汎用連成解析プリ・ポスト

実際の部品に見られるような複雑形状に対する自動メッシュ生成を実現する。また、流体解析の境界層を考慮したハイブリッド型メッシュ生成、変形・モーフィング前後のメッシュにおいて各種物理量をマッピングする機能も視野に入れなければならない。
また、インターフェースモデル構築過程を、個別単一現象のモデル作成とは独立した第3のモデル作成プロセスとして新たに取り上げ、インターフェース境界条件・物性値等の付与を行うツール群を整備する。
連成解析の可視化のために、複数現象(複数ソルバの結果)を重ね合わせて表示することも可能とする。

(3) 電磁場解析システム

1997-2002年に実施された日本学術振興会未来開拓事業計算科学分野のADVENTUREプロジェクトにおいて開発された電磁場解析ソフトADVENTURE_Magneticに、戦略ソフトプロジェクトで開発した磁場解析コードNEXST_Magneticで開発された高速化・省メモリのテクニックを改良して搭載する。非線形静磁場解析、非定常渦電流解析機能を有した並列計算による高速計算が可能な電磁場解析ソフトを開発する。

図1 革新的汎用連成解析システム 全体システム概略図

図1 革新的汎用連成解析システム 全体システム概略図


画面サンプル

図2 連成解析プリ・ポスト概念図


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