サブテーマリーダ: 中村 壽
財団法人 高度情報科学技術研究機構 計算科学技術第2部長

革新的基盤ソフトウェア開発の一環として、将来のペタフロップス級のハイエンドコンピューティングの効果的な利用と高度な計算科学の発達を目指し、革新ソフトウェア群に対して高速最適化に関する研究を行う。具体的にはシミュレーション・ソフトウェアに対し、並列化及びベクトル化等を施し、ハイエンド計算機環境に適合させ、また高速に駆動させる、さらに結果的にそれらがユーザの問題解決時間を短縮化できるようする。こうした共通基盤的なソフトウェア技術の研究をハイエンドコンピューティングが可能な地球シミュレータ等を利用して行う。
(1) 最適並列ベクトルプログラミング化の研究
革新シミュレーション・ソフトウェアの演算速度を向上させるために、対象とするソフトウェアに関して並列ベクトルプログラミング化、具体的には、地球シミュレータ上で99%以上の並列化率を、また95%以上のベクトル化率を達成するプログラミング技術を地球シミュレータの10ノードを利用して研究する。
(2) 高速最適化アルゴリズムの研究
地球シミュレータの数10~100ノード級を利用し、中、大規模シミュレーションの試計算を通じて、対象とする革新シミュレーション・ソフトウェアの計算アルゴリズム等を改良し、演算性能をさらに高速化する研究を行う。
(3) 実証研究
(1)、(2)で最適化される革新的シミュレーションソフトウェアは、演算速度及びその分野の典型的な応用問題のシミュレーションによって、高速最適化の妥当性が検証される。ここでは、ナノシミュレーションコード、PHASEを対象とする。その理由は、ナノシミュレーションでは、予測精度を向上させるために、扱う原子個数を拡大するなど大規模計算化の傾向にあり、シミュレーションの高速化が必要となっている。


