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メッセージ

戦略的革新シミュレーションソフトウェアの研究の開発

プロジェクト代表者:加藤 千幸
東京大学生産技術研究所 教授

計算科学は理論・実験に次ぐ第三の方法として、バイオ、ナノ、デジタルエンジニアリングなどの多くの学術・技術分野において今後益々発展するとともに、産業競争力の維持・強化のための重要な共通技術基盤となることが期待されています。このような状況の中、東京大学 生産技技術研究所では2002年度から文部科学省ITプログラムの一環として、世界最先端の実用的シミュレーション・ソフトウェアを開発し、その普及を図ることを目的とした、「戦略的基盤ソフトウェアの開発」プロジェクトを推進してきました。本プロジェクトでは、タンパク質の量子化学計算、ナノシミュレーション、流体・構造解析などの応用ソフトウェアと、統合プラットフォームやHPCミドルウェアなどの共通基盤的ソフトウェアを開発してきました。これまでの取組みによって、科学技術分野における国産・戦略的ソフトウェアの重要性、有用性は予想を遥かに上回るペースで一般社会に認識されて来ておりますが、一方で、世界のリーダーとして飛躍するための更なる内容の拡充と研究開発の加速に対する期待が一段と大きくなって来ております。
このような背景のもと、文部科学省次世代IT基盤構築のための研究開発プログラムの一環として2005年度から新たに開始された「戦略的革新シュミレーションソフトウェアの研究開発」プロジェクトでは、上記の「戦略的基盤ソフトウェアの開発」プロジェクトの成果をさらに発展させ、マルチスケール・マルチフィジックス現象のシミュレーション技術を核にした、以下の分野における基盤的ソフトウェアの研究開発を推進します。

I.
生命現象シミュレーション
II.
マルチスケール連成シミュレーション
III.
都市の安全・環境シミュレーション
IV.
共通基盤ソフトウェア(超高速演算ライブラリ及び最適化プラットフォーム)

特に、「戦略的革新シミュレーションソフトウェアの研究開発」プロジェクトでは、産業界や社会的な強い要請に応えるべく、「人の循環器系のシミュレーション」、「都市の火災や有毒物質の拡散シミュレーション」ならびに「連成物理現象シミュレーション」を新たな研究テーマに加えてプロジェクトを推進します。
本プロジェクトの推進にあたっては、東京大学生産技術研究所計算科学技術連携研究センターを中核拠点として、総勢120名を越える第一線の計算科学研究者が本プロジェクトに参画し、最先端の実用的シュミレーション・ソフトウェアの開発を実施しています。また、産業界での使用に供する実用的シミュレーション・ソフトウェアの開発にあたっては、製品開発に対するソフトウェアの有効性を実証することが極めて重要です。本プロジェクトでは「戦略的基盤ソフトウェア産業応用推進協議会」を通じて強力な産学官連携体制により、この実証研究を進めております。本プロジェクトでは皆様方からの忌憚の無いご意見を真摯に受け止め、今後とも開かれた形の研究開発を目指す所存でございますので、ご理解とご支援を頂きたく、よろしくお願い申し上げます。

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