都市安全・環境シミュレーション・システム

都市の安全・環境シミュレーション・システムの研究開発

サブテーマリーダー:加藤 信介
東京大学生産技術研究所 教授

サブテーマリーダ: 加藤 信介

研究背景:

近年、大規模な地下街、超高層ビルなどが急激に増大している。これらは複雑な空気流通経路を持つものであり、同時にこの空気流通経路の多くが人間の活動領域や避難経路ともなっている。このような状況で生物化学(BC)兵器テロや火災が発生した場合、その非線形な複雑性故に、防災設備の作動条件の違いが大規模な災害に発展する危険性が増大している。これらの災害を防止あるいは低減するためには、適切な防災設備の信頼性、ロバスト性を考慮した設置が不可欠であるが、このためには、環境・安全を正確に予知し評価できるシミュレータの開発が必要不可欠である。

開発目標:

開発されるシミュレータは、人間の活動空間を含む複雑な空気流通空間における気流制御にかかわる防災設備の動作、誤動作の効果、火災時の避難誘導(通路の遮断や避難経路への誘導)設備や火災による建物性状の変化を連成するものであり、安全性能評価システムや多目的最適化システムとの連成を図ることにより、建物の防災設計の信頼性、ロバスト性を飛躍的に向上させる。。

開発内容:

(1)仮想ビルディングデータベースシステムの構築

今回のシミュレーションは、地下街や建物内の、非常時の空気流動と空気流動により伝播される各種危険物質の運搬、並びに火災の拡大、消化作業の影響、避難行動を物理モデルに基づき行うため、多くのモジュールにより実施される。これらモジュールの入力データ、出力データによる修正を受け入れる地下街、建物のデータベースを仮想ビル(virtual building)と命名する。この仮想ビルを構築し、既存の各種BEMS (Building Energy Managing System ) とのインターフェース、ビル空調シミュレーション(HVAC-Simuなど)、CFD、火災シミュレーション、避難シミュレーションモデルとのインターフェースを作成し、使いやすく効率的な環境・安全設計システムを完成させる。

(2)テロ対策としての人間の活動空間およびこれを支える空気流通空間における健康影響危険物質の移流拡散シミュレータの研究開発

LESに基づく高精度な3次元解析モデルと1次元流れに基づくネットワークモデルを連成させた健康影響危険物質の移流拡散シミュレータを開発する。

(3) 人間の活動空間およびこれを支える空気流通空間における火災対策としての煙の移流拡散および延焼シミュレータの研究開発

LESに基づく高精度な3次元解析モデルと1次元流れに基づくネットワークモデルを連成させた火災時の煙の移流拡散シミュレータを開発する。

(4) 危険時の避難誘導最適設計システムの研究開発

火災時の放射が人の避難行動に与える影響を考慮して、マクロモデルによる物理変数と関連付けた移動モデルを研究開発する。また、最適手法と連成し、最適な避難経路を求めるモデルを研究開発する。

画面サンプル
システム構成図
このページのトップへ