創薬・バイオ新基盤技術開発へ向けたタンパク質反応電子シミュレーション・システム

世界最大のタンパク質の高精度量子化学計算ソフトウェアを可能にするProteinDFシステム

サブテーマリーダー:佐藤 文俊
情報基盤センター・東京大学生産技術研究所 准教授

サブテーマリーダ: 佐藤 文俊

密度汎関数法プログラムProteinDFをベースに、新しい創薬・バイオ基盤技術開発に向けたタンパク質反応の全電子計算による高品位シミュレーションシステムを研究開発する。実証計算により、シミュレーションの方法を堅固な技術へと発展させていく。このシステムは、以下の研究開発項目から構成される。

(1) 密度汎関数法による超大規模タンパク質全電子計算エンジン

PDB(http://www.rcsb.org/pdb/ )に登録されているほぼ全てのタンパク質の全電子計算が実行できるよう、ProteinDFエンジンを高性能化する。各計算律速ルーチンの高速化とともに、1000CPUの計算機に対応できるように並列化もレベルアップする。また、全電子自動計算の研究も行う。

(2) タンパク質の構造最適化、分子動力学、自由エネルギー計算機能

タンパク質系の分子間相互作用を精密に見積もるため、タンパク質の高速な構造最適化法、分子動力学法、自由エネルギー計算法などを開発する。

(3) タンパク質波動関数データベース(大幅更新)

タンパク質の量子化学計算を系統的に行い、タンパク質波動関数データベースを構築する。遺伝子情報データベース、PDBとリンクする。

(4) シミュレーションを支援し、物性を評価・解析できる高品位GUI

タンパク質反応全電子シミュレーションシステムのGUI(Graphical User Interface)を開発するとともに、薬剤設計のための構造モデリング機能、データベースとのリンクや新しい物性量を表現する手法を開発する。

画面サンプル

インスリン6量体の全電子計算によって得られた等電子密度面上の静電ポテンシャルの分布。インスリン6量体の残基数、原子数、軌道数はそれぞれ306、4,716、26,766で、世界最大の密度汎関数法計算結果。


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