革新的汎用連成シミュレーション・システム

ソフトウエア情報

REVOCAP_Magneticの詳細情報

REVOCAP_Magneticは磁場解析のための有限要素解析モジュールである。並列計算により大規模な問題を効率よく数値計算するために階層型領域分割法(Hierarchical Domain Decomposition Method (HDDM))[1][2]を用いており、並列計算サーバ、PCクラスタ環境のいずれにおいても使用可能となっている。解析機能として非線形静磁場解析機能および渦電流解析機能があり、非線形磁場解析に対してはCG (Conjugate Gradient)法にもとづくHDDM[3]を、時間調和渦電流解析に対してはCOCG (Conjugate Orthogonal Conjugate Gradient)法にもとづくHDDM[4][5]を適用している。

REVOCAP_Magneticの非線形静磁場解析機能では、定式化に磁気ベクトルポテンシャルA[Wb/m]を未知関数とするA法を用いている[6][7]。また、非線形反復手法としておもにNewton法[8]を用いている。時間調和渦電流解析機能は2つの定式化によって実装されている。1つは磁気ベクトルポテンシャルA[Wb/m]と電気スカラーポテンシャルφ[V]を未知関数とするA-φ 法であり、もう1つはAを未知関数とするA法である[5][6][9]。いずれの機能でも数千万自由度の解析が可能となっている。

なお、本ソフトウェアはADVENTUREプロジェクト(ADVanced ENgineering analysis Tool for Ultra large REal world (正式名称:設計用大規模計算力学システム開発プロジェクト))[10]の成果物である、階層型領域分割法を用いた大規模磁場解析モジュールADVENTURE_Magneticを基に開発された。

参考文献

[1]
A. Quarteroni and A. Vali, Domain decomposition methods for partial differential equations, CLARENDON PRESS・OXFORD, 1999.
[2]
R. Shioya and G. Yagawa, Iterative domain decomposition FEM with preconditioning technique for large scale problem, ECM’99 Progress in Experimental and Computational Mechanics in Engineering and Material Behaviour, pp.255-260, 1999.
[3]
H. Kanayama, H. Zheng and N. Maeno, A Domain Decomposition Method for Large-scale 3-D Nonlinear Magnetostatic Problems, Theoretical and Applied Mechanics, 52, pp.247-254, 2003.
[4]
H. Kanayama, R. Shioya, D. Tagami and S. Matsumoto, 3-D eddy current computation for a transformer tank, COMPEL, Vol.21, No.4, pp.554-562, 2002.
[5]
H. Kanayama and S. Sugimoto, Effectiveness of A-phi Method in a Parallel Computing with an Iterative Domain Decomposition Method, IEEE Transactions on Magnetics, VOLUME 42, NUMBER 4, pp.539-542, 2006.
[6]
金山寛,計算電磁気学  岩波講座 現代工学の基礎 <空間系 IV>, 岩波書店, 2000.
[7]
H. Kanayama, R. Shioya, D. Tagami and H. Zhen, A numerical procedure for 3-D nonlinear magnetostatic problems using the magnetic vector potential, Theoretical and Applied Mechanics, 50, pp.411-418, 2001.
[8]
R.B.J. Reece and T.W. Preston, Finite Element Methods in Electorical Power Engineering, Oxford University Press, 2000.
[9]
田上大助,金山寛,塩谷隆二,山谷貴章,電磁場問題における電流密度の補正と反復法の適用,日本機械学会第13回計算力学講演会講演論文集,No.00-17,pp.509-510, 2000.
[10]
ADVENTURE プロジェクトホームページ:http://adventure.q.t.u-tokyo.ac.jp/

汎用連成カプラ REVOCAP_Couplerの詳細情報

構造、流体、磁場、熱の各単一現象解析ソフトウェアの連成する物理量を相互に接続するプログラムであり、インターフェースモデラ、カップリングマネージャ、マッパの3つのモジュールから構成されている。

インターフェースモデラは、解析モデルにおける連成現象が起こる面とソルバ間の物理量変換則を作成するプログラムである。連成面はREVOCAP_MeshおよびREVOCAP_Visualで指定されることを想定している。

カップリングマネージャは、解析全体の制御をおこなうプログラムであり、各ソルバおよびマッパの起動・動作確認をおこなう。

マッパは、REVOCAP関数ライブラリーにより連成物理量の通信をおこなうプログラムである。


メッシュデータ管理生成ライブラリー REVOCAP_Meshの詳細情報

任意幾何形状対応メッシュ生成およびその情報管理のために、CADデータ(IGES)からの三角形表面パッチ生成モジュールおよびメッシュデータ管理モジュールを開発した。三角形表面パッチからの四面体メッシュ生成には、ADVENTUREプロジェクトにより開発されたADVENTURE_TetMeshを利用している。

メッシュデータ管理モジュールは、生成したメッシュデータを連成現象可視化ツール(REVOCAP _Visual) の中で管理するためのモジュールであり、四面体メッシュから表面メッシュを抽出する機能も備えている。

作成された四面体メッシュの情報は、四面体メッシュデータファイル(拡張子:msh)に節点座標、要素コネクティビティおよび材料毎の要素番号と共に記録される。

使用ライブラリー:openCASCADE


連成現象可視化ツール REVOCAP_Visualの詳細情報

可視化ツールREVOCAP_VisualはRubyを用いて開発されている。REVOCAP_Visualで実現している機能は下記である。

IGESデータの読み込みと表示
IGESデータからTetMeshデータの生成
TetMeshデータの読み込みと表示
FrontSTR用のパラメータ設定と境界条件設定、およびFrontSTR用のプリ処理 (メッシュデータ、計算コントロールファイルの出力)
FrontSTRの計算結果のポスト処理 (コンター図、変形図、等値面の表示)
FrontFlow/red用のパラメータ設定と境界条件設定、およびプリ処理 (メッシュデータ、計算コントロールファイルの出力)
FrontFlow/redの計算結果のポスト処理 (コンター図、等値面の表示)
FrontFlow/blue用のパラメータ設定と境界条件設定、およびプリ処理 (メッシュデータ、パラメータファイルの出力)
FrontFlow/blueの計算結果のポスト処理 (コンター図、等値面の表示)
REVOCAP_Magnetic用のパラメータ設定と境界条件設定、およびプリ処理 (メッシュデータ、メッシュ表面データ、パラメータファイル、物性値ファイル、物性データファイル、コイルファイルの出力)
REVOCAP_Magneticの計算結果のポスト処理 (コンター図、等値面の表示)

使用ライブラリー:FXRuby


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