研究開発課題
【概要】
現在、形状設計で限界が来ている輸送機器・流体機器の更なる高効率化や低騒音化を目指して、これまでの「形状工夫による流体機器設計という概念」を越えた新しい「マイクロデバイスによる流体制御を前提とした流体機器設計の概念」を提案します。また提案する設計概念の有効性を、「京」を用いた数値シミュレーションによって実証することで新しい流体制御技術として確立し、その実用化に向けた道を示します。詳細についてはウェブサイトをご覧ください。
【具体的な成果目標】
(1)マイクロデバイスの作動原理の解明
流体制御の基礎となるマイクロデバイスの作動原理の解明を行います。平成24年度までに小型の流体機器の流体制御メカニズムを解明し知識基盤として整理してきました。今後は「京」を利用することで初めて可能になる、これまでより一回り大きなサイズ(ある種の流体機器では実物サイズ)での現象理解を行なっていきます。具体的には、下図は小型から大型の翼型まわりの流れ場の解析結果で大型の翼形では非常に小さな渦構造が見られていますが、今後解析を進め、このような流れ場に流体制御を適用した際の知見を知識基盤として整理していきます。
(2)知識基盤の構築
システムの信頼性やロバスト性など、実用化に向けた課題克服のためのパラメータサーベイを行います。様々な作動条件や設計パラメータに関する大規模な設計探査(ものづくり分野の課題4との連携)は数値シミュレーションだからこそ実現できるものです。ここで得られた知見を実設計の際に利用可能な知識基盤として整備をします。平成24年度までに「京」を使うことで初めて可能になる160を超える大規模LES解析(下図)を行なっており、設計に有用な知見が整理され始めています。
(3)提案概念の有効性の実証
産業界での実利用に向けて、実際の機器を対象としたフィードバック制御を組み込んだ流体制御シミュレータを構築し、「京」で実行することで流体制御システムとしての有効性を実証します。
【スーパーコンピュータ「京」で利用したソフトウェア】
ソフトウェア名:LANS3D
サイズの異なる流れ(上図:左から右へ大きな機器)と大きな機器での制御(下図:左非制御時,右制御時)
160ケースを超えるケーススタディによる知識基盤の構築