• ソフトウェア情報


    複合材料強度信頼性評価シミュレーター (FrontCOMP)

    本研究では炭素繊維強化複合材料に焦点を絞り,ものづくりの第一義的要件である部材の強度信頼性評価を設計段階で的確に実施可能なシミュレーションシステムを開発することを目的としている.炭素繊維強化複合材料の的確な強度信頼性評価を行なうことを目的とし,炭素繊維と樹脂の複合システムとしてのミクロスケールでの強度発現機構を,製造プロセスから直接的に評価できる手法を可能とするために,本研究では,フィラメントワインディングやRTMにより製造されるFRP部品全体について,炭素繊維束と樹脂の複合システムとしての材料を,複合則等により連続体化して扱うのではなく,繊維束と樹脂を別々に有限要素モデル化したメゾスケール有限要素モデラーを開発した.シミュレーションにおいては,炭素繊維強化複合材料の製造プロセスに関わる,1)炭素繊維束成形,樹脂の含浸・硬化プロセス後の初期欠陥評価と,供用時に関わる,2)熱/動荷重による損傷発展の評価に大別し,樹脂硬化プロセス時の残留ひずみ・残留応力評価有限要素解析システム,および製品が曝される負荷状態に応じた樹脂損傷の発展過程評価有限要素解析システムを開発した。


    FRP材料メゾスケール有限要素モデリングソフトウェア (FrontCOMP_mold)

    本システムは、フィラメントワインディング法やResin Transfer Molding (RTM)法により製造されるFRP部品全体について、型に沿った炭素繊維束の配置を決定し、繊維束と樹脂を別々に有限要素分割するソフトウェアである。すなわち、繊維束と樹脂を明確に分離したモデルをもちいた大規模シミュレーションシステムのための有限要素モデル作成ソフトウェアと位置づけられる。炭素繊維束の重なりや平織をなす補強材炭素繊維束の構造を忠実に有限要素モデル化し、繊維束と樹脂を明確に分離したメゾスケール有限要素モデルを作成するプログラムである。


    複合材料統合化シミュレーションプラットフォーム(FrontCOMP_GUI)

    複合材料統合化シミュレーションプラットフォームは、既に開発済みのFRP材料メゾスケール有限要素モデリングソフトウェア(FrontCOMP_mold)、樹脂硬化プロセスシミュレーター(FrontCOMP_cure)、損傷発展評価プロセスシミュレーター(FrontCOMP_damage)と材料データベース、製造ナレッジデータベース、損傷モデルデータベースシステム等と連携させ、総合的に運用するためのグラフィカルユーザインタフェースである。


    樹脂硬化プロセスシミュレーター (FrontCOMP_cure)

    本システムは硬化により収縮する樹脂の残留応力・残留ひずみを解析するものであり,樹脂の発熱も含む型-炭素繊維束-粘弾性体(樹脂)の熱伝導/変形連成解析を行う.温度変化による樹脂の硬化度を評価し流動部分と固化部分を区分し,流動の程度により緩和する残留ひずみを解析する.本シミュレーターでは,1)樹脂の発熱を含む熱伝導解析,2)温度変化と相変化により発生するひずみ解析,3)樹脂流動によるひずみ緩和解析を逐次行い,微小時間ステップで次ステップへ移行する.これらの解析を時々刻々実施して,最終的な残留ひずみ,残留応力を求めていくシステムである。


    損傷発展評価プロセスシミュレーター (FrontCOMP_damage)

    本システムは,炭素繊維強化複合材料の供用時に関わる負荷状態に応じた損傷発展過程評価有限要素解析システムである.損傷発展を評価するための損傷則は負荷状態に応じて設定する必要がある.既往の損傷則において,連続体モデルを機軸とする損傷則では,破損モードを分類し,各モードに対応する材料試験から限界値を得る必要があった.そこで,本シミュレーションシステムでは,炭素繊維束と樹脂を別々に有限要素分割したモデルに対応した損傷則を検討中であり,樹脂部分の損傷を適切に評価できるひずみ基準損傷則を提案している.この様な損傷則は、炭素繊維束と樹脂各々の力学特性に応じた単純かつ合理的な損傷則となる.

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