先にもお話しましたように、私は初中のときに試験で満点を取ったことで、物理の勉強が大好きになりました(笑)。その後、私は一貫して、伝熱といった熱の研究を続けてきており、博士号を取る際の研究論文のタイトルも「自然循環ループ内の熱対流と安定性」というものになっています。
私は基礎的な研究が好きなんですね。でも、その一方で、科学的な理論を現実の世界で応用する応用技術というものにも強く心を惹かれています。だから、私が日本に来たのも、そうした日本の進んだ応用技術を学びたいと思ったからなんです。私は、日本の優れた技術を学んで、将来、中国の技術の発展を支えていくのにふさわしい研究者になりたいんです。
しかし、日本ばかりを見ていても、世界の最先端の技術動向から取り残されてしまう。だから私は、嫌いであった英語も一生懸命に勉強しました。そして今や、私は妻や娘と一緒にいるときは中国語で考え、この生産技術研究所で他のスタッフたちと打ち合わせをするときは日本語で考え、論文を書くときは英語で考えているんですよ(笑)。
そして現在、私はコンピュータ上で、これまでなかったようなプラットフォーム作りの仕事を進めています。この仕事はものすごく難しいもので、目標がちょっと高過ぎるのかなという思いもしています。また、私がこの仕事に参加したのも最近のことなので、達成感はまだそれほど大きくない。しかし、この頃、この仕事もおもしろくなってきたぞと実感し始めたところなんです。
ところで、私は日本に来るとき、日本での滞在期間をとりあえず、6、7年間ほどにしようと考えていました。だから、これからの日本で過ごす長い歳月、私は与えられた環境の中で一生懸命に研究に取り組み、最良の成果を上げていきたいと思っています。その後どうするか? まだ、そこまでのことに気をまわす余裕はないですね。私は、今やっている仕事に、私がもっている力のすべてを注いでいこうと考えているんですよ。
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