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研究員インタビューInterview




■江連さんは現在、当プロジェクトのHPCミドルウェアグループにおいて、どのような研究に取り組んでおられるのでしょうか。

 HPCミドルウェアについて触れる前に、まず最初に、各種の研究開発に使われるコンピュータシステムの現況について説明しておきたいと思います。

 現在のところ、研究開発に使われるコンピュータシステムには、能力的にさまざまなレベルなものがあります。まずPCクラスタ。クラスタは「ブドウの実の房」などの意味をもつ言葉ですが、コンピュータの世界では、それが転じて「複数のPCによって構成されるシステム」を指す言葉となっています。そして、一昔前、PCクラスタは数十台のPCを並列に連ねた形になっていましたが、現在では、たとえば48個のCPUチップを搭載した24枚のボードを1つの筐体(ラック)に納めるといった形になっています。
また、地球シミュレータ。これは海洋科学技術センターと日本電気株式会社が共同で開発したベクトル並列型のスーパーコンピュータであり、2002年3月に運用開始となっています。そして、この地球シミュレータは、コンピュータ上に“仮想地球”というものを作り出し、地球規模の気候変動や地層/地殻変動メカニズムなどをシミュレーション解析するものであり、現時点においては、世界で最高速を誇るコンピュータシステムになっています。

地球シミュレータ

 さて、ここでHPCミドルウェアについての概略を説明したWebページを見てください。

HPCミドルウェア

 HPCミドルウェアは、このWebページでも説明されているように、High-Performance Computing Middlewareの頭文字を取った言葉であり、通常はHPC-MWという略称で呼ばれています。そして、このHPCミドルウェアは、有限要素法(FEM)、有限体積法(FVM)などのシミュレーション手法のなかから、それぞれ特徴的な処理プロセスを抽出してきて、それらを体系化して得られる標準的処理パターンを1つのソリューションツールとしてまとめたものです。

 つまり、もっと簡単に言い切ってしまうと、このHPCミドルウェアは先に述べたPCクラスタや地球シミュレータなど、さまざまな個々のコンピュータシステムに依存しない形式によるプログラムの記述方法、プログラム連成のためのインタフェースを定めたものであり、研究者の側では、このHPCミドルウェアをプラグインするだけで、高性能なシミュレーション解析プログラムを自分に適したコンピュータシステム上で簡単に使えるようになるのです。

 なお、この研究グループのなかで、私自身は達成カップリング、領域分割ユーティリティ、メッシュビューアという部分についての研究開発にたずさわっています。

■最後に、江連さんご自身がどのようなお気持ちで研究に取り組んでおられるのかお聞かせください。

 子どもの頃に思い描いていた新幹線の運転手になりたいという夢こそ果たせませんでしたが(笑)、物作りの仕事にたずさわっていたいという願いは叶えることができました。また、学生時代に理想的な先生に出会うことができ、その当時にやっていた研究をほぼそのままの形で現在も続けていられることに大きなな喜びを感じています。

 昨年11月には、HPCミドルウェアのPCクラスタ向けのプロトタイプ版を完成させることができ、現在はその正式版を作る作業に取りかかっています。具体的には、もっと使い勝手を良くするためにユーザーインタフェース部分に改良を加えたり、ライブラリ部分を充実させるといった作業です。さらに現在は、地球シミュレータなどのベクトル並列型コンピュータ向けに最適化されたHPCミドルウェアの開発作業を進めています。

 ただ、日常の生活はあまりにも忙しく、私が大好きであった見知らぬ土地を放浪して歩くという遊びを楽しむヒマもない。でも、それでもいいんです。私の仕事はコツコツと地道にプログラムをコーディングしていくというものですが、私たちのグループが作っているHPCミドルウェアが世界中のソフトウェア開発者や研究者の方々に使われると思うと、そっちの喜びの方が大きいんです。

 そしていま、私の目の前には、この他にも、やりがいのある大きな研究テーマがたくさん転がっています。だから、ここ当分は思いっきり楽しむことができますね(笑)。

<コラム>
 HPCミドルウエアについてのミニ知識


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