私たちが開発に取り組んでいるシステムの中心的なプログラムは ABINIT-MP(Ab initio Fragment MO -Method Program)という名前で呼ばれていますが、私たちはこのプログラムを使って、アミノ酸で500残基、原子数で8500原子からなるタンパク質分子を計算することに成功しています。そしてこれは、現在のところ世界最大級の計算規模となっています。
私はこのような世界の最先端を行くプログラム開発に携われることを誇りに思うと共に、毎日のように新しい発見に出会えることがとてもうれしい。新しい発見があると、今度はそれを使ってどのような新しい研究課題に取り組もうかと考えたりして、気持ちがワクワクしてきます。
また、研究を続ければ続けた分だけ、その研究成果が確実に上がってくることも、とても大きな励みになっています。さらに、分子生物学ではコンピュータによる解析技術が強力な武器になってくれるのですが、この武器を量子論と組み合わせることで、これまでわからなかったことが無限にわかってくるような気がして、大きな喜びの源泉となっています。
そして正直に言いますと、私たちが行っている解析計算、実はこれ“力づく”のものなのです。現在あるコンピュータの演算能力を最大限に利用して、限られた時間内に所要の計算をこなさなければならない。でも、この“力づく”の難しい仕事をグイグイとこなしていく、その前向きの感じが大きな快感になっています(笑)。
みなさんも、どうか当グループの研究に注目していてください。先に紹介した計算規模なども、今後はアミノ酸で1000残基のレベルまで高めていく予定になっています。 |