ホーム

研究成果

研究テーマ

プロジェクトの概要

メンバーと人材育成


メンバーリスト

研究員インタビュー

研究人材の育成

研究員募集



スーパーコンピューティング技術産業応用協議会先端ソフトウェア産業応用部会



IIS

リンク

サイトマップ



所内向け案内
所内関係者のみ


東京大学生産技術研究所
計算科学技術連携研究センター
〒153-8505
東京都目黒区駒場4-6-1

研究員インタビュー
Interview




■福澤さんは現在、当プロジェクトのタンパク質-化学物質相互作用解析グループにおいて、どのような研究に取り組んでおられるのでしょうか。

 私たちのプロジェクトでは、別のページでも説明しているように、量子論に基づいたタンパク質と化学物質の分子間の相互作用をin silicoで解析するシステムを開発する研究に取り組んでいます。……と言っても、これだけでは何のことだがよくわかりませんね(笑)。

  in silico というのは、医学や薬学の分野でよく使われている言葉で、コンピュータを使って理論的に研究するといった意味で使われています。これに対して、 in vitro、 in vivo という言葉があり、 in vitro は試験管などの器具を使って実験的に研究するという意味で使われ、 in vivo はマウスなどの動物を使って生体内で研究するという意味で使われています。また、化学物質という言葉は、主に新しく創ろうとしている薬や環境汚染物質のことを指しています。

 したがって、最初に言ったことをもう少しわかりやすく説明すると、私たちが新しい薬を創り出していくためには、生体高分子であるタンパク質と、このタンパク質に作用を及ぼす化学物質との相互作用を分子レベルで解明していく必要がある。そして、こうした相互作用を分子レベルで解明していくためには、量子論に基づいた解析手法をコンピュータ上のプログラムに置き変えていく必要がある。つまり、私たちはタンパク質と化学物質との間で起こる相互作用や化学反応を解析するための最新のコンピュータプログラムを開発しているということになります。

 なお、先に紹介したページにある Ab initio FMO法 という言葉は、私たちが開発しようとしているプログラムで使われている解析手法の名前で、非経験的フラグメント分子軌道法という日本語に訳されています。そして、この非経験的フラグメント分子軌道法は、分子の電子的性質、つまり物性や反応性といったものを経験的なパラメータを使うことなく計算し、予測するための理論的な手法のことを指しています。

■最後に、福澤さんご自身がどのようなお気持ちで研究に取り組んでおられるのかお聞かせください。

 私たちが開発に取り組んでいるシステムの中心的なプログラムは ABINIT-MP(Ab initio Fragment MO -Method Program)という名前で呼ばれていますが、私たちはこのプログラムを使って、アミノ酸で500残基、原子数で8500原子からなるタンパク質分子を計算することに成功しています。そしてこれは、現在のところ世界最大級の計算規模となっています。

 私はこのような世界の最先端を行くプログラム開発に携われることを誇りに思うと共に、毎日のように新しい発見に出会えることがとてもうれしい。新しい発見があると、今度はそれを使ってどのような新しい研究課題に取り組もうかと考えたりして、気持ちがワクワクしてきます。

 また、研究を続ければ続けた分だけ、その研究成果が確実に上がってくることも、とても大きな励みになっています。さらに、分子生物学ではコンピュータによる解析技術が強力な武器になってくれるのですが、この武器を量子論と組み合わせることで、これまでわからなかったことが無限にわかってくるような気がして、大きな喜びの源泉となっています。

 そして正直に言いますと、私たちが行っている解析計算、実はこれ“力づく”のものなのです。現在あるコンピュータの演算能力を最大限に利用して、限られた時間内に所要の計算をこなさなければならない。でも、この“力づく”の難しい仕事をグイグイとこなしていく、その前向きの感じが大きな快感になっています(笑)。

 みなさんも、どうか当グループの研究に注目していてください。先に紹介した計算規模なども、今後はアミノ酸で1000残基のレベルまで高めていく予定になっています。

<コラム>
 タンパク質-化学物質相互作用解析についてのミニ知識


マーク BACK







ページトップ


Copyright