ホーム

研究成果

研究テーマ

プロジェクトの概要

メンバーと人材育成


メンバーリスト

研究員インタビュー

研究人材の育成

研究員募集



スーパーコンピューティング技術産業応用協議会先端ソフトウェア産業応用部会



IIS

リンク

サイトマップ



所内向け案内
所内関係者のみ


東京大学生産技術研究所
計算科学技術連携研究センター
〒153-8505
東京都目黒区駒場4-6-1

研究員インタビュー
Interview



 バックナンバー



第1回 牟田 元(次世代量子化学計算グループ)
世界のトップをゆくProteinDFを
誰もが使いやすいソフトウェアに

マーク 牟田研究員のプロフィール


 次世代量子化学計算グループでは、タンパク質の全電子計算用に開発されたソフトウェアProteinDFをベースに、精緻で実用的なタンパク質のシミュレーションシステムの研究開発を行っています。
 今回は、ProteinDFのインターフェースの開発を担当されている牟田研究員にお話をうかがいました。

■まず牟田さんのご出身地、少年時代の様子など、その経歴をお聞かせください。

 私は1973年に神奈川県の横浜市で、2人兄弟の兄として生まれました。父親が金属加工の技術者であったせいでしょうか、小学生時代から理科の科目が好きで、学研から発売されていた『科学』や『学習』という雑誌を愛読していました。

 また、小学校の高学年になってからは誠文堂新光社の『初歩のラジオ』といったエレクトロニクス関連の雑誌や書籍を読みふけり、おそらく学校からは禁止されていたと思うんですが、ひとりで電車に乗って秋葉原の街にパーツを買いに行ったりしていました。典型的なラジオ少年だったんですよ。

 中学時代もこうした傾向は変わらず、科目としては理科と数学が好きでした。また、高校時代も理系で学びましたが、数学が好きだったにもかかわらず、どういうわけか物理よりも化学の方が成績は良かったんです。

■牟田さんはその後、大学へと進んでいかれましたが、そこではどのような勉強をなさったのか説明してください。

 大学は東京工業大学の工学部に進みました。最初は化学系の第3類に入ったんですが、2年生から高分子工学科に進級し、ポリエチレンなど、石油を原料としたいわゆる合成高分子(プラスチックの類)について勉強することになりました。

 4年生のときには佐藤満先生の研究室に所属し、「高分子と水」というテーマに初めて出会うことになりました。また、私が初めて計算化学という概念に出会ったのも、この研究室においてでした。ふつう私たちは、化学というと実験室での実験を思い浮かべますが、戦後に盛んになった量子力学や量子化学の分野では、コンピュータによる理論計算からさまざまな化学現象を解明しようという研究が多く出てきました。そこで、この研究室では私がコンピュータを使う係となり、他の学生が出した実験の結果を計算によって検証するということを行っていました。

 ここで、私の現在の研究テーマとも関係があるので、みなさんが高校の化学の授業でも習う“塩析”という言葉について少し説明してみることにしましょう。

  生体高分子であるタンパク質を高濃度の塩水のなかに溶け込ませると、そのタンパク質は溶けきることができずに沈澱していきます。これを“塩析”といい、加える塩の種類によって、この“塩析”の状態も複雑に変わっていきます。そこで、どうしてこのような現象が起きるのだろうかと、さまざまな検証を加えていくことが私たちの主要な研究テーマになっていました。

 先に石油を原料とした合成高分子のお話をしましたが、実は、合成高分子というのは、タンパク質のような生体高分子に比べれば、その構造は比較的単純なんです。したがって、タンパク質のように巨大で複雑な構造をもつ生体高分子に関する現象を解明するためには、たとえば先の“塩析”実験では、水およびイオンとの相互作用を調べるための実験を行いますが、その際、合成高分子を比較対照の物差しとなるモデル系として使用することで、複雑な問題をいくつかのより研究しやすい問題に分割することができるので、実験もやりやすく、量子化学計算でも扱いやすくなるため、非常に好都合であるというわけです。

 タンパク質のような生体高分子は、数千から数万個の原子から構成される巨大分子です。巨大であり、かつ構造が複雑過ぎて、当時使っていた量子化学計算ソフトウェアを使う場合、そのままではまったく扱えないか、たとえ扱えたとしても時間がかかり過ぎて量子化学計算ができないんですね。だから、構造が単純な合成高分子を物差しとなるモデル系として使い、さらに見たいところだけをクローズアップしたような小さなモデル系を設定することで、ようやく計算ができるというわけです。

マーク NEXT







ページトップ


Copyright