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「高効率電子デバイス材料研究コンソーシアム」参加公募のお知らせ
 

 
2013年03月04日
独立行政法人物質材料研究機構 先端的共通技術部門 理論計算科学ユニット ユニット長
大野隆央


1.コンソーシアムの概要

詳細に関してはコンソーシアム趣意書を参照ください。

(1)コンソーシアムの目的

現在、集積回路素子の微細化は物理限界に近づきつつある。このためMore MooreからMore than MooreあるいはBeyond Mooreが指摘されているが、カーボン系ナノ構造材料を代表とする非シリコン系材料は、従来のシリコンテクノロジーとの親和性のあり、次世代の高効率素子デバイス材料として注目を集めている。カーボン系ナノ構造材料に関しては、カーボンナノチューブ(CNT)は高い電流密度耐性を持つのでビア埋め込みや配線材料として、また、グラフェンは高易動度トランジスタとして応用が期待されている。グラフェンのもつ2次元電子系特有のバンド構造から特異な電子物性も予想されており、新機能デバイスとしての期待も高まっている。また、炭化珪素は大きいギャップをもつ非シリコン系半導体であり、パワーデバイスへの応用が加速されている。こうした非シリコン系ナノ構造材料を産業的に活用していくには、その理論的な電子物性の解析と同時に、実際にどのようにして作り込むかというプロセス設計が重要であり、プロセス設計にかかわるメカニズム解析は喫緊の課題である。


グラフェンや炭化珪素はシリコン半導体と同様に原子スケールでの制御が可能であり、また、それが可能であってこそナノ構造材料として産業的な意味がある。昨今のシミュレーション技術(ソフトウエアとハードウエア)の進歩により、実験的に実証可能なスケール(~105原子系)でのシミュレーション解析が可能となっていることを踏まえ、理化学研究所計算科学研究機構の「京」コンピュータの利用も視野に入れて、産業界のものつくり現場との連携を促進・強化する目的で本コンソーシアムを設立する。


本コンソーシアムでは非シリコン系ナノ構造材料のマイクロエレクトロニクス応用を念頭に、その基礎物性から素子としての特性、素子をつくるプロセスまでをシミュレーション技術によって一気通貫的に扱うことを目的としており、デバイスメーカのみならず、材料やシステム、ソフトウェアベンダーなど広い産業分野からの参加を期待している。また、コンソーシアムとして他の産官学ナノエレクトロニクス関連プロジェクトと連携することで、よりものつくりの現場にフィードバックのかけられる仕組みを構築する。


本コンソーシアムは、2011年12月1日に、カーボン系ナノ構造材料を主な対象に炭化珪素等の非シリコン系ナノ構造材料も視野に含めて、「HPCIカーボン系ナノ構造材料研究コンソーシアム」の名称で設立された。その後2013年1月31日に、デバイス開発の動向も踏まえて、非シリコン系ナノ構造材料のデバイス材料としての可能性をより幅広く検討することを明確にするために、「高効率電子デバイス材料研究コンソーシアム」と改名した。

(2)コンソーシアムの設置期間

2011年12月1日から2016年3月までとする。この期間の成果を元に、さらなる実証研究を目的とした次期コンソーシアムを2016年4月より設置する予定である。

(3)研究内容

本コンソーシアムでは,以下のようなテーマを中心に検討を進めていく。ただし、その詳細はコンソーシアムの構成員間で議論の上、決定する。

1)ナノスケール世代の配線技術/ナノ構造プロセスの設計解析

  • 分子動力学的解析手法によってナノ構造、ナノ界面などの成長プロセスの解析
  • プロセス制御の主要因分析と影響評価
  • 触媒選択を含めた最適化プロセスの設計手法の提案

2)ナノスケール世代の素子技術/ナノ構造伝導特性解析

  • 電極まで含めたトランジスタ全体の大規模電子構造解析
  • 量子伝導解析を元にした素子特性(I-V特性)の解析
  • 構造乱れ、不純物、基板、電極界面などの素子特性への影響評価
  • エネルギー散逸プロセスの影響評価と温度特性の定量解析
  • 非シリコン系デバイスの素子特性ポテンシャル全体を総合的に評価

3)非シリコン系ナノ構造材料に関する知識基盤の構築

  • 103~106原子系を扱う一貫した手法の構築(第一原理手法⇆タイトバインディング法⇆古典手法)
  • シミュレーション知見のデータベース化(HPCプラットフォームへの組み込み)
  • 産業界に使いやすい形で提供

(4)研究開発の実施体制

本コンソーシアムは、本コンソーシアムの趣旨に賛同し、積極的に貢献する意思のある機関に所属する研究者・技術者から構成される。コンソーシアムの運営は,構成員からなる推進委員会を設置し,これが行う。また構成員からコンソーシアム代表者を選出する。

(5)会費等

会費は無料。本コンソーシアム事務局は独立行政法人物質材料研究機構理論計算科学ユニット内に置く。

2. 参加者の資格

参加者は本コンソーシアムの趣旨に賛同し、積極的に貢献する意思のある機関に所属する研究者・技術者とします。

3.応募方法

(1)応募用紙

入会申込書をダウンロードし、電子メールもしくは郵便にて下記までお送りください。

(2)提出先

住所:
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 独立行政法人物質材料研究機構 理論計算科学ユニット 高効率電子デバイス材料研究コンソーシアム事務局
E-mail:
hpci-marceed-office@nims.go.jp

以上