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    革新的シミュレーション研究センター設立のご挨拶

    計算科学シミュレーションは、21世紀において最も発展が期待される分野であり、総事業費1150億円余りの、超高速計算機開発の国家プロジェクトが平成18年度から開始されています。しかし、我が国では超高速計算機を最大限活用できる実用的計算科学シミュレーションソフトウェアの研究開発が遅れており、また、産業界においても大規模シミュレーションを利活用する体制は整っていません。実用的な最先端シミュレーションソフトウェアの研究開発と、人材育成も含めた産業界への普及を促進するための対応が急務となっています。

    このような状況の中、生産技術研究所では、文部科学省研究振興局情報課の大型研究プロジェクト「戦略的基盤ソフトウェアの開発」(平成14~17年度、事業費約36億円)を推進し、着実な成果を挙げるとともに、平成17年度からは同「革新的シュミレーションソフトウェアの研究開発」(事業費32億円)を推進し、これらの事業で研究開発したソフトウェアは、企業におけるエンタープライズサーバやPCクラスタなどでも高速な計算を実現するとともに、前述の地球シミュレータにおける実用的な計算科学シミュレーションソフトウェアの中核を成すに至っています。

    「革新的シミュレーション研究センター」はこのような流れを汲み、(1)世界をリードする先端的シミュレーションソフトウェアの研究開発、(2)研究開発成果の社会への普及、ならびに、(3)シミュレーションソフトウェアを開発・利活用する人材育成のための、教育・研究基盤をさらに強化することを目的として、平成20年1月に生産技術研究所附属の教育・研究施設として新設されました。本センターの具体的な成果目標は、(1)量子化学計算にもとづく、大規模たんぱく質の反応解析の実現、(2)人体内の血流や血管壁との相互作用解析に基づく、動脈瘤や動脈硬化症などの発症、進行の予測、(3)第一原理計算による、ナノデバイスの特性予測、(4)工学的ものづくり分野においてイノベーション創出基盤となり得る、統合連成解析ソフトウェアの開発、ならびに、(5)都市の防災、安全を実現するための、計算科学に立脚した、都市安全シミュレーションソフトウェアを研究開発することです。

    本センターの前身にあたる計算科学技術連携研究センターでは、本学大学院工学系研究科、(独)物質・材料研究機構、国立医薬品食品衛生研究所、(財)高度情報科学技術研究機構、慶応大学、東北大学、北海道大学など、学内外多くの研究機関と連携し、先端的なシミュレーションソフトウェアの研究開発を推進してきましたが、今後もこのような連携体制をより一層強固なものとし、シミュレーションソフトウェアの研究開発を進めていく所存です。また、大学や研究機関だけで、真に実用的なシミュレーションソフトウェアを研究開発することは不可能であり、ユーザーである産業界との密接な連携が必須となります。そこで、産業界のニーズを定期的に取り込む仕組みを構築しながら、また、ソフトウェアの有効性を実証するための検証解析では産業界の方々の全面的なご協力を頂きながら、真に実用的なシミュレーションソフトウェアの開発を進めて行きたいと思っておりますので、ご理解とご協力を賜りたく、お願い申し上げます。

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