CIAOの詳細情報

CIAO(Code for Investigating Atomic Orbitals)は、密度汎関数理論のもとで、原子の全電子状態を第一原理計算します。その結果得られた全電子ポテンシャルから擬ポテンシャルを計算します。ここで作成された擬ポテンシャルは、第一原理擬ポテンシャルバンド計算プログラム(PHASE)や量子伝導計算プログラム(公開予定)などの入力として用いることができます。

CIAOの電子状態計算の枠組みは、PHASEに代表される第一原理バンド計算と基本的に同じです。CIAOは対象を原子に限定することにより、ポテンシャルが球対称であることを利用して計算量を大幅に軽減しています。これにより高速計算を可能にしています。また、CIAOではPHASEでは扱えないような計算を精度良く行うことができます。例えば、スピン軌道相互作用を含めた計算、相対論的なスピン電子状態の計算、軌道間クーロンエネルギーの計算などが挙げられます。


CIAOの全体的な特徴は以下の通りです。

1. Fortran 90で記述
2. 外部ライブラリを必要としない
3. キーワード形式で入力
4. 原子の全電子状態計算
5. 擬ポテンシャルの計算

このうち「原子の全電子状態計算」の特徴は以下のようになります。

1. 密度汎関数理論
2. 交換相関汎関数
 ・LDA(PZ81、PW91)
 ・GGA(PBE96、revPBE)
3. 相対論、スカラー相対論、非相対論
4. スピン分極
5. 擬原子
6. 解析機能
 ・軌道間クーロンエネルギー
 ・波動関数極大の動径座標


次に、擬ポテンシャル計算はCIAOの主機能です。擬ポテンシャルは、原子の全電子ポテンシャルから構成されます。「擬ポテンシャルの計算」の特徴は以下のようになります。

1. コアポテンシャル
 ・Troullier-Martinsノルム保存 + Hamann's GNCPP法
 ・VanderbiltウルトラソフトPP法
2. 局所ポテンシャル:軌道、BHS型、多項式
3. 擬波動関数:TM型、多項式
4. コア補正(PCC):球Bessel、多項式
5. 入力形式:Semicoreに対応
6. 出力形式:GNCPP1、GNCPP2、CIAOPP
7. 解析機能
 ・対数微分
 ・Fourier変換
 ・ノルム保存のゴースト状態
 ・ウルトラソフトのスピン状態
 ・遷移モーメント


その他、以下のような便利なツールが用意されています。

1. ppconv:別形式の入力ファイル間の変換(CIAOPP、GNCPP、PSV)
2. makefig_nc.pl:ノルム保存の計算結果の表示(pdf、eps)
3. makefig_us.pl:ウルトラソフトの計算結果の表示(pdf、eps)
4. makefig_ciaopp.pl:擬ポテンシャルCIAOPPの表示 (pdf、eps)

以上





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