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自動計算法で述べたように、分子軌道法ははじめに初期値を入力し、繰り返し計算によって解を求めるので、繰り返し計算の収束は初期値に大きく依存します。特にタンパク質のような巨大な系の全電子計算を行うには十分に良い初期値から計算を出発させる必要があります。このため、当グループではタンパク質を構成するアミノ酸の計算から始め、ペプチド鎖を次第に大きくしながら計算を進めるという方法を開発しました。この方法のベースとして一種の局在化軌道(Localized Orbital: LO)である擬カノニカル局在化軌道(Quasi-Cannonical Localized Orbital : QCLO)を導入することによって精度の良い初期値を得ることに成功しました。この方法をQCLO法と呼びます。 しかしながら、QCLO法ではLO計算が必須であり、これには個々のペプチドの断片の大きさ(基底関数の数)の4乗に比例する計算が必要となります。また、従来のQCLO法ではペプチド鎖を伸長していく全てのStepでLO計算からQCLO計算を始めなければなりませんでした。そこで、本研究ではQCLO計算の律速となるLO計算の高速化と、一度QCLOを求めておけば、その後のStepのLO計算を行わなくてもよいようQCLO法の拡張を行いました。 QCLO法は、ペプチド全体に広がった分子軌道のかわりに、例えばアミノ酸側鎖などの分子断片に局在化軌道を用いる方法です。 上記の手順の中で、最も計算量が多くなるのは手順2のLO計算の部分で、実測では基底関数の数の4.4乗に比例する計算時間が必要でした。このLO計算を特に注意して高速化することにより、分子サイズ依存性を3.4乗に、実際にLO計算を行う3残基ペプチドでは従来の方法の20倍ほどの高速化を達成しました(方法の詳細は省略しました)。 一方、3残基より大きなペプチド鎖でLO計算を行わないよう、前のStepで計算したQCLOをベースに次のStepのQCLOを求めるには、前のStepで求めたQCLOを変換行列として使い、固有値方程式をフラグメントごとに解くということを分子軌道法の繰り返し計算内部で行えば良いでしょう。そのため、ProteinDFの繰り返し計算内部にフラグメントのループを組み込んでQCLO法を拡張しました。これにより、タンパク質全電子計算の大幅な時間短縮が達成されました。 拡張したQCLOはタンパク質の収束過程における様々な応用が期待できます。以下に4つの例を挙げます。 |
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